異端者の悲しみ

耽溺日記

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

南風に抱かれて

梅田の路地裏で“ジョージ・クルーニー”と煙草を吸い終えた後、天国の蜜と地獄の泥を交互に舐める様な旅の記憶を暖めたままに、グレイハウンドのバス・ターミナルへ向かった。新たな“ビジネス”への期待と不安が入り混じったままに、バスを待った。グレイハウ…

男と女の哀しみが雪に変わる街〜終章〜

“運命”の朝は静かに訪れた。明け方に帰ってきた色男に敢えて何も問わずに朝飯を食べる場所を探しに街へ出た。週末なので多くの喫茶店が開いていない。答えはやはり“ミスター・ドーナツ”もう三日連続だ。ドーナツはいくら食べても美味い。言葉少なにおれ達は…

金沢の珈琲は薄い

その夜の雪はそう激しくなかった。おれたちは“極上”の夜を夢見ながら、まだ見ぬ女性(ひと)のことを考え、口にして凍てつく北国の冬を暖めようとしていた。“色男”だけが本当の女性の話をしていた。先輩、というよりは“親分”と待ち合わせて、片町の外れにある…

酒と涙とドーナツと女

お酒を飲むようになった。角やオールドを、ワン・フィンガー、ツー・フィンガーとロックでちびりちびりと歌謡曲のレコードなどを聴きながら飲(や)る。何故だかは分からない。周りの“極上”の男や女達はお酒を嗜む人が多いし、スナックへも懐の余裕がある時は…